2017年 07月 20日
Cosa vuoi di più della vita?
コロッセオからエスクイリーノの丘の方へ登ってゆく近道。
コッレオッピオ公園と言う名前だそうで、多分、何百回と通った公園内の道はドムスアウレア通りだったとつい先週末気がつきました。汗
17年前の3月の末、空港に迎えに来てくれた元相棒の車が壊れたとかで、電車でオスティエンセ駅まで入り、そこから地下鉄B線に乗り換え、コロッセオ駅で下りて、この公園のドムスアウレア通りを20kgのスーツケースと一見見た目は軽そうだけど、実は20kg強あったリュックを背負い、ぜぃぜぃ言いながら登ったのあの夜から、私にとってコロッセオとオッピオの丘はほぼ自分の庭状態である。
来たばっかりの頃、サッカーのラツィオチームがその年のリーグ優勝を決めたとかで、次の日にはドムスアウレア通りには多分ラツィオファンだろうな、ローマチームへの罵倒の言葉が道のアスファルトの上に大きく書かれていたのを発見して、ビビりながらもイタリア語の罵倒の言葉をひとつ覚えたっけ。
で、次の年、今度はローマチームがリーグ優勝したので、同じ場所にでかでかとローマチームのロゴが描かれたのも覚えている。
当時働いていたお店への通勤もストの日は、この坂を下りてコロッセオを右に曲がるとスペイン広場までも徒歩でも20分もかからない。
冬の早朝、まだあまり人が出ない時間にここを通ったときは、日産の新車の撮影をコロッセオを背景にしてしていたのに出会ったこともある。
相棒の家と自分で借りたおうちとの行き来で毎日毎日、何度も何度も通った道。
カメラマンをしているイタリア人の彼とお付き合いをしていた日本人の友人が、毎年二人の記念日に写真を撮ることにしていると、ある年はこのドムスアウレア通りで写したものを見せてくれたことがある。
イタリアは結婚式の後、披露宴までの間の時間をカップルは町中へ写真撮影をしに回るのだが、確かにこのドムスアウレア通りでも、よく撮影中のカップルを見かける。
当時はね、いつの日か私も結婚したいと思っていたので、そのときは写真撮影はやっぱりここよねとは決めてはいたんですけどね・・・・・・。遠い目 笑
先週末、ドムスアウレア見学のために、またまたここを通ったときは、そんな感傷に浸る暇もなく、まっすぐのびる道のどこにも日陰がないやーん!!!!!!!! ちょびっと日陰の下にあるベンチはすでにてんこ盛りに人が座っていて、じりじり照りつける太陽の中、日陰を探して一気にコロッセオまで下りました。
この暑い中、ローマに行くの? なんて近所の人に言われましたが、真夏でも中はめっちゃ冷え冷えの納涼ドムスアウレア見学のためだったので、暑さ対策でもあったけど、予約時間より早く着いちゃったので、急遽日陰探し難民になりかけましたが、コロッセオはでかい。日陰もでかいので、コロッセオの麓の歩道の段差に各国からの観光客に交じって腰掛ける。
この日は結構風がある日だったので、日陰だと涼しい風が通ってとっても気持ちが良い日でした。(海の方では竜巻もでちゃったそうですが 汗)
目の前にどっかーんとコロッセオ。その日陰でぼうっと涼を取るって、考えたらものすごい贅沢な時間。
「Cosa vuoi di più della vita? 人生でこれ以上の何が欲しい?」
私と同じことを考えていたようで、横で涼んでいたピサーノ。
いやはや、本当。住んでしまうとありがたみを忘れがちですが、2000年以上の歴史の上に腰掛けちゃってますし。
2017年 07月 19日
ローマバイナイ
ローマバイナイ。一見かっちょいい感じですが、スマートとか、エレガンスとかいう形容詞からはほど遠いです。
水面下の戦いをくぐり抜ける知力と頑固さと、図々しさとデカい声が必要です。
「今夜、サンタンジェロ城の下のルンゴテレベの川岸で、ジャズを聞こうよ。」と友人アンジェロくんからの電話が鳴ったのは夕方6時半。
土曜日に、素敵なジャズコンサートないかどうかを聞いたのは、水曜日。
「Ok! じゃあ、ちょっと調べてみるよ。今晩、遅くても明日には電話するよ!」
ローマ人が、今晩、明日・・・・なんて言ってもそれを真に受けてはいけない。
これは「Ok! わかったちょっと調べてみる。」と訳すべきであり、電話が来るかどうかは“当てにしてはいけない”と括弧に入れておくべきである。
案の定、水曜日も木曜日も金曜日も電話は来なかったので、自分で調べて、どうやら土曜日は大したジャズコンサートはないということはわかっていたので、他のイベントを探そうと思っていたところであった。
ピサから南下してる途中だったピサーノくんに、大慌てで、もしまだローマ近辺を走っている途中だったら、そこで停まってて!と電話をするも、イタリア男子、優しいですから「今、まさにローマの側面走ってるけど、迎えに行くよ。後30分で着くから。」
ピサーノVSロマーノ。 同じイタリア人でも州が違うと気質もかなり違う。
ピサーノくんにとってはほぼ土地勘なしのローマの超ど真ん中の交通渋滞がひしめく地区でなんとかテンパリながらも駐車場も確保し、きっかり約束の8時半にジャズクラブ着。
ロマーノ代表アンジェロくんからは「俺の名前でテーブル押さえてあるから、先に着いたら席についててね。」
ってか、ロマーノがOn Timeに着く事はかなりないので、想像はしていた。
待ち合わせのクラブのカウンターバーで席を予約していることをつげる。
「今、お席にご案内しますね。今夜は15ユーロです。1杯ドリンクが込みです。」
今夜のコンサートは9時からとは聞いていたが、ロマーノ代表アンジェロくん、来たのは9時半近く。
まあね、ローマですから、コンサートだって開始時間にきっかり始まるはずがないとは見ていたけど。
9時からぽつぽつその日のミュージシャンが集まり出し、アンジェロが着いたときは、まだ音合わせやウォーミングアップ時間。
コンサートの前にまずは腹ごしらえとそれぞれ夕食をオーダーするときに、アンジェロが「今夜はコンサートだけじゃなく、食事もするって言ってあるので、テーブルチャージ5ユーロで後は食べたものだけ。それ以外はかからないとオーナーと話はつけてあるから。」と言い出すが、あれ? 私たちもう15ユーロX2人分払っちゃったよ。
「それは違うよ! おーいウエィトレスちゃん!」とアンジェロがオーナーと合意してあるという話をも伝え、それぞれ夕食をオーダーした。
この夏の間だけ特設されるルンゴテベレの川岸に2kmほどいろんなレストランやクラブ、バールにちょっとしたお店などが立つ。
この夜のジャズクラブもいつもはスペイン広場近くらしいが、夏場はそっちを閉めて、ルンゴテベレの川岸にお引っ越しをするのだそうで、今年は「ジャズ with 寿司&シーフード」だそうで。
日本人としてはジャズ聞きながら、寿司は正直に嬉しいが、場所が日本でないだけに、ほんまかいな?な企画ではある。
案の上、私が頼んだ「エビの天ぷら」は、何度天ぷらと言ってもオーダ取りのお姉さんは「はい、エビのフライですね?」と返してくるのがすでに不安を煽る。
メニューには「天ぷら」とは書いてあるんですが。
いただいたメニューも、4人テーブルに1冊。しかもなんかばばっちいことになっていて、「ちょっとこれ、上でお寿司を引き回したって感じ。ばっちくって触るのも嫌よ、これ。」と友達が目の前で写真をとってWhatAppで送ってくれてオーダーするという、ちょっとハイテクメニューになっちゃってました。笑
小1時間ほど遅れてコンサートが始まったんですが、横のクラブのラテン系ミュージックがかぶっちゃって、ジャズに浸れない・・・・・・。そうかと思いきやいきなり川の方向から大音響のオペラが。
お客さんが一斉に立ち上がって川の方に目をやると、MAXモニターを載せた小舟が・・・・・・多分、この時期どこかのテアトロで上演しているらしいオペラの宣伝カー、ならず宣伝船。
こりゃあ、ジャズのミュージシャンだって上手く乗れないよね・・・・な今ひとつなコンサート。
「この納涼ルンゴテベレ ナイトって、一体誰がオーガナイズしてるわけ。」
はい、ローマ市でございますが、全然ちゃんとオーガナイズされてない。お店の配置もこういった宣伝テロとかもどうよなローマバイナイ。
さてオーダーして1時間経ってもなにも来ないお腹減り減り4人組の横を通ったウェイトレスさん「Tutto a posto? 」
イタリア語のTutto a postoとは、状況が上手く運んでいるかを聞く言葉で、この場合は「いかがでしたか?」みたいに使われたわけですが、ローマ人、お腹減り減りで飢えてますから「ええ、ばっちりですよ。これで食事が運ばれてきてたら、最高。」
こんなときもね、声を荒げないけど、大きな声ではっきりとそしてにこやかに「はよー、持ってこいやっ!」と意思表示をするのがローマ風。「はよー、持ってこいやっ!」ってそのまま言っちゃだめよ。
受けるウェイターさんもにこやかな笑みの中にドス黒く渦巻く怒りをちゃんと察したらしく、大慌てて食事が運ばれてきましたが・・・・・・・。
びっくりするくらい量が少ない。小さい。
刺身を頼んだピサーノくんのお皿には4枚ほど薄く切った白身魚が。天ぷらだったはずの私のお皿はやっぱり小さめの海老フライが5個。イカのフライを頼んだ友達のはサクランボ大の丸いものに衣が。。。。。汗
1時間以上待った夕食は、頑張って何度も噛み締めたけど、ほんの数分、数口で食べ終わっちゃった。
案の定、「これじゃ足りない!!!! ピザが食べたい!」とアンジェロの彼女のロマーナが立ち上がる。
「この時間だとピザ屋も閉め始めているから、急ごう! まじ、これだけじゃ足りないって!」とお会計に走る4人を待ち受けていたのは105ユーロのお代。
こういうときのロマーノは、意外にも声を荒げません。満面の笑みですが、絶対意見は変えねえぞっ!な迫力があります。オーナーも交えて、先にピサーノくんが払った30ユーロの件も加わり大激論会。
でも一人も怒鳴り声を上げなく、笑い声が入りつつお互いを牽制。
「なんにも食べてないのに、105ユーロはないだろうよ。」
「うちの寿司メニューは、みなさんに大好評で一度も文句は出た事がございませんよ。いやだわ、人聞き悪いわ。」
「うちら、寿司は頼んでませんよ。頼んだイカのフライは小さ過ぎてイカかどうかさえわからないくらいだったし。」
「まあああああ! なんですって、うちでお出しするイカはこれくらいありますよ!」とオーナーが両腕を広げる。この感じからしてイカは数十年に一度、どこぞの海で捕獲したとニュースになる巨大イカくらいの大きさのようなので、ロマーナ(本業 弁護士)がすかさず、「あら! そんなに大きいイカなんですか? じゃあ、私のところには吸盤1個、細切れフライだったのね! せめて足1本くらいは出して欲しかったわ。」と応戦。
でも、みなさんにこやか。大激論会はまるでなにかの漫才を楽しんでいるかのようにさえ見える。
「席を予約したとき、テーブル料は5ユーロって言ったよね? 頼むよ。今夜は友達がわざわざ遠いところから出て来てくれたのに、ローマのこんな悪いイメージついちゃってさ。俺の立場ないでしょ?」と言うロマーノの横でピサ人もちゃっかり「今日、フィレンツェから出て来たんですよー」なんてフィレンツェ人のふりをする。
これ、フィレンツェ人が見たら、絶対おりゃあ!って突っ込むな。
土台、日本人の私の前で寿司の話をブツのはかなり肝ッ玉いると思うんですが、気がついていないのか?
お皿に盛られてたものがどこまで小さかったかは、ブログネタになるかと私、全部写真撮ってあるけど、こういうところはまだまだ私は日本人。
ロマーニたちはにこやかに笑いながらも、ぐさーっ! ぐさーっ!と話の腰に杭を打ち込み、最後にはお店が根負けして、ピサーノくんが払った30ユーロは、その場で返金。食べたものだけということで、お一人様15ユーロで話はついた。
が、15ユーロってローマでもアペリチャーナと呼ぶ、1ドリンクでフィンガーフード食べ放題ができるお値段である。
「イカの吸盤1個に15ユーロは正直納得いかないけど、早くしないとピザ屋が閉まるし!」
ローマバイナイは、時々こんなカオスを呈することがありますが、落ち着いて、にこやかにでも絶対ひるまねーぞ!と応対すると意外になんとかなります。ここで声を荒げちゃうとね、ローマ人逆キレしちゃって状況は悪化するだけなんです。
それに時々、ローマ人って実はこの一触即発な仮面の口喧嘩が好きなんじゃないかと思います。元々人の話を聞かないし人種だし、お互い言いたい事だけ言っちゃって、で最後にはチャンチャンと、“ちゃんと”事が収まります。
2017年 07月 17日
真夏の夜はルンゴテベレ
日中の灼熱時間がやっと終わる夕暮れ時、イタリアの人たちは夕涼みもかねて外に繰り出します。
毎年、各都市で夜な夜ないろんなイベントが組まれますが、もしこの時期にローマにお越しの方には、ルンゴテベレの下、川岸をぶらぶらお散歩、お勧めです。
写真の聖大天使城 カステロ サンタンジェロの下の川縁に白いテントが見えると思いますが、ここでーす。
川縁を2kmほど、夏の間の限定ですが、いろいろなお店のテントも並び、アペリティフやお食事も楽しめたり、クラビングも出来ちゃいます。
ちょっとローマ バイナイトを楽しみたいけど、大丈夫かな? 危険じゃないかな? なんてみなさん心配ですよね。ルンゴテベレに出るお店は外から、店内も見えるし、まわりは多くのひとたちがそぞろ歩いてるし、お値段も基本的には明朗会計の・・・・・はずです。
この・・・・・・・・のところは、ぼったくりじゃないけど、先日とある場所で、「クラブオーナーとの意見の相違」があって、お会計時にもめはしなかったけど、まあ、意見交換勃発したので。
でも、そんなところもひっくるめてある意味「ローマの真夏の夜」を楽しめるポイントです。
もう笑っちゃうしかないくらい、騒々しくローマらしいお話なので、ちょっと長いと思いますので、明日にでもご紹介いたします。
2017年 07月 13日
真夏のかくれんぼ
うちはそんな広くないし、部屋数もないんですが、最近、カルロがこつ然と消えます。
あれ?
いつもは私の足元にまとわりついてるか、絶対視界の中に鎮座しているのに、どこだ?
おうちのドアは閉まっているので、いきなり外におでかけはしていない。
我が家はイタリアで言う1階、日本的には2階なので、ベランダから下に落ちているとは・・・・・思いたくないぞ。
彼の定位置の居間のソファー、ベランダ、バスルームを探すもいない。
あれれれれ???? かーるーろー????
と、もう一度寝室に目をやると、ベットの下から、カルロの尻尾が・・・・・・・。
去年の夏は寝室で寝ていたカルロくんですが、西日が当たるので、夜でも暑いらしく、気がつけば直射日光があたらないバスルームで寝ていることがあったので、数ヶ月前からカルロの寝床をバスルームに移してあったのです。ところが最近、おやすみーと言って電気を消した後、カルロが寝室に入って来る気配が。
暗闇の中、寝室を見回すも白い物体(カルロ)が見えないので、気のせいかと思っていたんですが、もしかしてベットの下はすこーし涼しいのかしら?
2017年 07月 13日
マテーラの幸せを呼ぶ笛ククーを探せ
南イタリアのバジリカータ州のマテーラは、洞窟住居がユネスコの世界遺産に登録された有名な町です。先日のお買い物代行はマテーラから。
今回の指令は「マテーラの幸せを呼ぶ笛ククーを探せ」
お買い物代行のご要望って、本当に多岐に渡っていて、毎回、気分は探偵です。
しかも、あたくし、イタリアに16年も住んでいますが、バジリカータ州は高速で通過しただけで、マテーラにも行ったことがない。
「幸せを呼ぶ笛、ククーってなに?????」
ここからお買い物代行が始まるので、毎回いろんなことを学びます。
その昔、メンドリの形をした笛、ククーは家の中を彷徨う悪い聖霊を遠ざけるものとされ、マテーラでは大切に居間に飾られるものでした。
確かに洞窟住居で知られる町ですし、家の中、暗そうですよね。・・・・って行ったことがないので、想像ですが。
おもちゃなんてそんなになかった時代ですから、子供たちにとってククーは憧れのおもちゃでもあったそうです。
貧しい南イタリアの町では決して、全ての子供が持てるおもちゃではなかったんです。
家の魔除けとして使われた素焼きの笛ククーは、現代ではカラフルに絵付けがされたり、背中にお花や小鳥を乗せ、豊穣のシンボルとして、結婚式の当日に新郎新婦に贈られるそうです。
こういったその土地にしかないものって、大体は町のメイン通りのお土産屋さんなどで扱っていて、情報収集が難航する商品なんです。案の定、お客様からいただいたお店情報に連絡をしても回答がこない。
市の観光情報サイトで見つけたククーの制作職人さんらしき人のフェイスブックページを見つけたので、思いきって電話をしてみた。
「すみません。あの・・・・幸せを呼ぶ笛、ククーを探しているんですが・・・・。」
「はい? ええ、ククーをお探しでしたら、大正解のところにお電話いただきました。」
普通、職人さんってぶっきらぼうな方やお年寄りが多いのですが、こちらの職人さんはまだ若い方で、今時のSNSアプリも対応可能。
お客様からお見積もりにGoサインいただいて、ほんの半時間ほどで、買付、集荷の手配まで完了。
マテーラにはもちろん、何人もククーを作る職人さんがいるようですが、「うちのククーです。」と送っていただいた写真を見た途端、もうピピピピピピッ!と来ちゃって、お客様にも「ここの可愛いですっ!」と力強くご提案させていただきました。
ノーベル平和賞受賞者のダライ ラマ14世がマテーラを訪れた際、こちらの職人さんのククーを吹き幸せを祈られたそうです。これは間違いなくご利益ありそうですね。
私も近い将来マテーラに行って、ククー買って来ちゃおうぞおおおおおお!
VIA BELLA ITALIAでもククーをお取り扱いしています。
ご注文は