人気ブログランキング | 話題のタグを見る

サヴォナローラの椅子

サヴォナローラの椅子_d0346364_21021025.jpg




カルロとの朝のお散歩で時々、面白いものに遭遇いたします。

朝靄の道端にちょこんと、多分サヴォナローラ チェアの。。。。下部分。

1年以上前に分別ゴミになってから、ちょっと大きめのゴミは、自分でゴミ処理場に持って行かないといけないので、多分、どなたか道端に捨てたと思われる。
ちゃんと背もたの部分があったら、アンティーク家具として、お値段もつくような椅子なのに勿体無いな。
しかもローマ県のこんなど田舎にサヴォナローラって、妙にシュール。

粗大ゴミであろう、こんな道端にちょこんと置かれちゃってる椅子、ちょっと持って行っちゃおうか!とも思ったけど、外人、やっぱり大人しく素通りしよう。

実は、私、このサヴォナローラ チェア好きです。
店長が1脚持っていて、大昔、借りていたことがあります。(借りてたというのが、おかしい状況だけど)
借りてた私の部屋には、大した家具もなく、がらーんとスペースだけはあり、店長の部屋には反対に彼の家具で埋まり、椅子を置くスペースもなかったので、誘拐いたしました。

形がとっても変わっていて、イタリアに来たばかりの私には、なんだかイタリアや歴史のかほりがする椅子で、いらないなら欲しい!とまでお願いしたこともあります。笑

「この椅子、サヴォナローラと言うんだよ。父から送られたアンティーク家具だから、あげれないよ」

店長のお家は実は500年以上続いたお貴族様。なにがしか歴史があったら、そりゃあ、もらっちゃダメよね。

その後、仕事でフィレンツェに行ったら、あら、ローマでは見かけたことがない椅子なのに、あっちこっちに。なんで????

「この椅子、サヴォナローラですね!」と打ち合わせ先のホテルの担当の方に、当時はまだまだイタリア語がパンパン出てこない時期だったので、会話のつなぎとして、ちょっとふってみた。

「この椅子ご存知ですか? そうですか。ええ、フィレンツェですからね。」との答えに、当時はさっぱりよくわからなかったんです。

「ええ、フィレンツェですからね。」って????? 
確かにローマでじゃまず見かけない。

サヴォナローラで調べてみたら、フィレンツェのメディチ家と対立してた修道士が出て来る。
なぜ彼の名前なんだろう?ルネッサンスの花開くフィレンツェで、贅沢を遮断し虚栄の償却なんかしちゃった、21世紀に生きるあたくしも一応絵描きなんで、どうもこう言う人嫌いです。

サヴォナローラの愛用椅子だったら、すっごい嫌。。。。。
とちょっと戦々恐々いたしましたが、幸いにも彼の名前が使われただけで、愛用というわけではないらしい。ほっ・・・・。

折りたたみ式のX型椅子の起源は、大昔のローマ時代にも遡るらしく、ローマ軍の移動の際に折りたたんで持ち運ぶのに便利で、多分高位、高官の椅子として使われていたそうです。
数枚の木を組み合わせた、シンプルな構造の折りたたみ椅子ですから、その後、時代が変わってからも修道院などでもよく使われていたようで、修道院長にも上り詰めたサヴォナローラの部屋にもあっただけで。



サヴォナローラの椅子_d0346364_21025597.jpg
2001年の頃の私のお部屋に誘拐されてた
サヴォナローラ



たまたま、その時期、イタリアに侵攻して来たフランス王シャルル8世が、この椅子を気に入りフランスに持って帰った時に、その頃、時の人でもあったのかしら????? サヴォナローラと名付けたらしいです。

本当にフィレンツェだと、ホテルなんかでもあっちこっちでこの椅子を見かけます。
そういえば、ローマでこの椅子を見たのって・・・・・トスカーナ大公大使館だったお屋敷とバチカン図書館の普段は人が入らない部屋。
そして店長の部屋。
もちろん、この朝の粗大ゴミとして出された椅子のように、思いがけないお宅で使われているかもしれない。

ちなみに店長のサヴォナローラは現在、会社の倉庫に仕舞われています。
角が痛まないようにと10年以上前に私が各かどを新聞紙で補強して、包んだまんま。

あれから数回のお引越しをしましたが、未だ店長のお家にはこの椅子を置くスペースがない。
やっぱり、また誘拐しようかな・・・・・。









最後までおつきあいありがとうございます。Grazie per la visita!



by viabellaitalia | 2018-11-23 21:04 | イタリア広場