2018年 05月 24日
イタリアンな鳥たちとの物語
昨日の午後、出勤途中にカルロちんが小さな茶色の固まりの横を通り過ぎようとして、ふと立ち止まり、ふんふんふん!と匂いを嗅ぎ始めた。
またー、他のワンコのうん●?と思いふと視線を落とすと、あれ? きゃあああああ!ちっちゃな鳥さんじゃん!
こらー!!! 食べたらあかん!と大慌てでカルロのリードをひっぱり立ち去ろうと思ったけど、まさか・・・生きてないよね?と振りかえったら、道路にぽつねんと落ちている茶色物体はときどきちょんちょんと動いている。
やだ! またヒナかな?
そう、この「また」というのは、1ヶ月ほど前のこと。
上の階の店長が、突如階段を降りて来て、そのまま外に走っていったことがあり、普段、走ったりしない人なだけに、どうしたのかな?
庭にやってきた猫にメルロー(ウタドリ)の若鳥がつかまってしまったのを見たらしく、その猫を追っかけたらしい。
そんな話を聞き、家を出た私とカルロはほんの数メートルの距離で、近所の猫がなにか茶色いものを口に銜えているのを発見した。
きっと店長が言っていた若鳥だろう。こらああああ!!!!!!とカルロをけしかけ、救出した若鳥は、もう死んじゃっているだろうか?と怖々と猫が口から落としていた鳥さんを手に取ると、私の手のひらの中で目を開け、私をじっと見上げて、ちょっと足をばたつかせた。
大きなキズもなさそうだし、血も出ていないけど、翼を閉じたままで私の手の中でもぞもぞしている軽くってふわふわしている鳥さんを、どうしたらいいのかとそのまま家に持って帰ってきたのだ。
一応、店長の奥様は獣医さんの卵である。
が。。。。。。。。。勉強はもう、きっとン十年はしていると思うが、まだ大学を出る見通しがまったくたっていない。
なので、実はまだ卵とも呼べないと思うが、店長は妻を信じたかったのだろう。
奥様が後で様子をみるというので、ひとまず猫などが入らない物置に小さな箱にティッシュをつめて、寒くないように即席避難所を作った。
「野生の鳥だし、獣医さんに連れて行く訳にもいかないし。大きな怪我がないからショックが収まれば、飛べるかもしれないし。」
と、野生の鳥の生命力に期待しながら一晩、鳥さんの回復を待った。
次の朝、鳥さんが小箱にはもういないと早朝に出かけて行った店長からメッセージが届いた。
「きっと、飛べたんだよ!」とは言うけど、鳥さんの力で、どうやって物置のドアが開けれるというのだろう? もしかしてどこかに隠れているのかな? 外に出て行けるようにと物置のドアを開けるも、飛び出て来る鳥はいない。
小箱の中にも鳥さんはいない。
一体何処に行っちゃったんだろう?と思った私の足元でカルロがふんふんふんふん!と地面の匂いを嗅いでいる。
ちょっとこんなところにおしっ●をひっかけないでよ!と彼の鼻先を見ると、そこには地面に落ちている鳥さんが!!!!
もう、絶対、死んじゃってる!と持ち上げると、鳥さんはまたも私の手の中で、ぎゅっとつぶっていた目を開けた。
でもね、この後、まるでテレビドラマの主人公のご臨終シーン。
鳥さん、私を見つめたなと思うと、ふるふるふるとふるえて、小さな頭をカクッと横に落とした訳で。
鳥さーーーーーーーーーんん!!!!!
後ほど、獣医の卵ならず卵子にもなってない奥様の見立てでも、ご臨終ですと。
こんなことがあっただけに、道ばたに落ちちゃっているヒナ(多分、今度は雀)が心配になっちゃって、そこから立ち去れなくなっちゃった昨日。
カルロが居るので、あまり近くには行けないので、ちょっと距離を置いて見ていると、多分母鳥だろう。
時々、上の木から降りて来て、一生懸命、こうやって飛ぶのよ!と教えている。
一度には高い木までは飛べないだろうから、ほら、こうやるの!
まず最初のステップでブロック塀にあがって、そこから金網の上に上がって! そこから近い枝に飛び上がるの!って何度も何度もひな鳥に飛び方を見せている。
ヒナも何度か挑戦するが、まだブロック塀までも上がれない。
母ってすごいなって、こういうとき思うけど、結構人通りも多いし、犬も猫も通る道にぽつねんとしちゃっているヒナを助けるために、何度も何度も下に降りて来て、飛び方を見せる。
そのうち、道を歩いて来たイタリア人たちも、ヒナちゃんが飛べるまで猫などから守ろうと、一人、二人と道に立ち止まったのを見て、私は、会社に大きく遅刻し始めていたので、その場を離れたけど、今度のヒナちゃんは無事に上の木に戻ることができたと願いたい。
イタリアの野生動物って、どうもイタリア人っぽい。
人懐っこく話しかけて来るし、役者というか考えていることを伝えてくるの上手でコミュニケーションの達人だ。
子供のとき、インコを飼っていたことはあるけど、子供だっただけに怖くて鳥に触れず。
実は鳥嫌いかもとまで思っていたが、思いがけず袖がふれあう縁があったりする。