ど田舎でアートな地区です

d0346364_00475825.jpg




「イタリアの通りの名前って歴史的人物や偉人の名前をつけてるだろ? それなのにイタリア人自身がさ、自分が住んでいる通りの名前の由来がどういった人だったのかさえ、知らないんだよ。」


「外国人である僕たちの方が、こういうことよく学んでいる。イタリア人の無知なところなんか、右に倣えしちゃだめだよ!」


とは、昔、突然我が家にやってきた訪問販売のセールスマンくんの言葉である。

彼は子供のとき、両親と一緒にポルトガルから移住してきたそうで、イタリアの普通校で学び、イタリア語だって、イタリア人と変わらないほどくせのないアクセントで話す。

でも結局、移民の子ですから、彼の生きて来た環境は決して簡単ではなかったわけで、失業率の高いイタリアではイタリア人自身が職にありつけないのだから、移民ではまずスタート地点がハンディがある。


「どなたですか?」

「どろぼうじゃないでーす!」


このお茶目な返事についつい吹き出しちゃって、訪問販売だというのは一目(聞)瞭然なのにドア開けちゃった。汗


訪問販売で来た先に彼としても、まったく思いもしなかったであろう同じく移民の私を見つけた彼。

最後にはイタリアで暮らす移民同士、この国で生きてゆくのが、どんだけ大変か、ましてや彼は子供のときに移住してきたので、私よりは言葉を覚えるのも、環境に溶け込むのが簡単だったりと、苦労を察して移民の先輩として、頑張れよとエールをいただいちゃった。


「母国を離れて生きて行くなら、ひとりになることを恐れるな。」と言っていたのと、この通りの名前のことをよく覚えている。


彼と出会って以来、道の表示を読む度、そこにはただの道の名前ではなく、由来の人の人生、歴史があるのだと気をつけて見るようにしている。


以前住んでいたお家はマンゾーニ通り。

イタリアの作家 アレッサンドロ マンゾーニである。 長編小説「許嫁」の作家だ。

マンゾーニ通りからオフィスに下りる道は、オリアナ ファッラーチ通り。

こちらもイタリアの女流作家さんである。

でも反対側に下りると、商業通りとか職人通りという名前の道で、結構つまらなかった。


さて、今度のおうちは フィリッポ ブルネレスキ通り。

フィレンツェのあのドウォーモの大きなクーポラを設計した建築家である。


このブルネレス通りは始まりのところでティツアーノ通りとつながっている。

これはやっぱり、盛期ルネッサンスのヴェネツィア派の重鎮の画家 ティツィアーノでしょ?


そして、ブルネレスキ通りを上ると、今度は右にドナテッロ通り、左にチマブーエ通りと交差する。

ドナテッロは初期ルネッサンスの頃の彫刻家である。フィレンッエ生まれのドナテッロとブルネレスキは同時代に生きた二人だもん、きっとこの二本の道のようにフィレンツェの町中で、交差したことがあるだろう。


チマブーエはブルネレスキやドナテッロより先の13世紀のゴシック期にフィレンツェで活躍した画家ですね。ここはフィレンツェつながりなのかな?

そしてブルネレスキ通りをさらに登るとジョット通り。

ジョット通りは彼の師であるチマブーエ通りと平行して伸びています。ジョット通りをずっと行くとミケランジェロ通りに変わり、ミケランジェロ通りを行くとチマブーエ通りに戻る。


ミケランジェロ通りの下の方に平行してサンツィオ通りがありますが、サンツィオって誰じゃ?と思ってたら、日本語表記ではサンティ。そうラファエッロです。


お引越先の地区って、歴史もなんにもない町なのに、なぜか妙に歴史的で芸術的な名前の通り密集地帯


あれ? ミケランジェロ、ラファエッロと来て、レオナルド ダヴィンチはどこ?と思ったら、ちょっと外れて市役所の方にぽつねんとありました。

妙にこの3人の偉大な芸術家たち自身の距離感を反映してるんですけど。汗


工場で働く人が集まって出来た鉄の丘は、まったくもって都市計画などなく、数々と連なる小さな丘の上に工員たちの住宅を作っていったら、こんなんできました!な町なだけに、この地区の通りのネーミングがちょっと異質、不思議な感じです。


なにせ歴史がない町なだけに、市役所から上の以前住んでいた地区はイタリア統一の主人公たちの名前とか聖人の名前を取ってつけた感たっぷりか、味も素っ気もない職人通りとか商業通りで、同じ人間がネーミングしたとは思えない。


町の地図の上で通りの名前を読んで行くだけで、ちょっとした歴史のお散歩だ。


あの、ポルトガル人のセールスマンの言う通り、それぞれの通りに住んでいるイタリア人たちは、こんなこと気にしてないだろうな。

というか、こんなことでほくほくしちゃっているのは、やっぱり歴史おたっきーな移民、外国人だからだろうか?



d0346364_00511464.png








最後までおつきあいありがとうございます。Grazie per la visita!



[PR]
by viabellaitalia | 2018-03-21 00:53 | イタリア広場 | Comments(0)