2017年 07月 06日
帰ってきたボンドさん!
シチリアに新しい生産車さんたちとの出逢いを求めて出かけたときは、確か、社用車のBMWで出かけた。
ピスタッキオの町、ブロンテの旧市街の超急勾配で細い道を走らせたときは、どこかこすっちゃうんじゃないかと店長、びくびくもので運転をしていたのを覚えている。
社用車のBMWを私たちは「ボンドさん」と呼んでいる。
店長の愛車ルーポくんのお姉さんのポジションだし、ハイテク車でなんでもボタンひとつ。まるで007、ジェームズ ボンドの車みたいなので「ボンドさん」と命名した。
だってイタリア語のBMW ビアメブーって、なんか間抜けな感じなんだもん。
あれは2年と4ヶ月前の2月、めっさ冷えた朝、ボンドさんは突然ご臨終となった。
いつものように出勤をしようと店長がエンジンボタンを押すも、まったく動かない。
まさに、うんともスンとも言わない。
朝早くにいきなりポン!という音とともに、白い煙をエンジンルームからもくもくさせたのを目撃したと駐車していた手前のお店のおばちゃんの証言である。
一応、機械工学のエンジニアでBMWのラボでエンジンルームの冷却装置開発の研究に携わった店長、いろいろ調べたら、BMWのエンジン構造の設計ミスであることを探り当てた。日本だとこういうケースはリコールであるが、イタリアは泣き寝入りで終わる事が多い。
修理は可能ではある。ってかエンジン丸ごと取り替えしかないらしい。
ということで、2年前の夏、車で30分ほどのオレーバノと言う町の車体工場に持って行ったのだが、バカンスシーズン幕開けの時期で、部品の見積もりが取れないと言われ、ボンドさんはそのまま工場にお預かりをして、秋になったら見積もりをくれるということになっていたんですけどね、そのまま梨のつぶてに。
何度か見積もりの催促はしたらしいけど、ぷっつり。
普通だったら、ここでヤバいとかなにがしかのアクションがあるんですけどね、先もちゃんとした車体工場だから、お客様の車をちゃんと保管するのは当たり前でしょーとか、イタリア人、変なところで信用してて動かない。(ただめんどくさかったのか?)
で、去年の暮れ、そう、オレーバノに持って行ってから1年と4ヶ月が過ぎた頃、突然オレーバノの市警察から「地元の車体工場からオーナー不明の車が置きっぱなしで困っている」とお電話が入りまして 汗
急遽、軍警察のお友達にも同行してもらってボンドさんを引き取りにオレーバノに向かった店長ではありますが、なにせボンドさん、まったく修理の手は入っていませんので、相変わらずエンジンはかかりません。軍警察のお友達のおじさんがナポリ近郊で車体工場を経営しているとのことで、このおじさんにナポリから車を引き取りに来てもらい、ボンドさんは今度は故郷ナポリへ。
BMWにはナポリ工場ってのはないと思いますが、ボンドさんを買ったディーラーがナポリだったので、実は最初の頃、私はBMWをナポリのマフィア カモッラちゃんと呼んでいました。笑
ナポリのおじさんのところで約6ヶ月、やっと修理が終わったよーと連絡が来て、先週の火曜日に店長はナポリまで引き取りの旅をいたしました。
そう、行きは電車乗り次いで3時間半。帰りはボンドさんで1時間ちょっと。
トータル、2年と4ヶ月ぶりのコンビ復活です。
おかえりなさい、ボンドさん!!!!!!!
気持ちは両腕を大きく広げてハグしたいくらい。
が、ここはイタリア、しかも南。話はここで終わらない。
ナポリのおじさん、ちゃんと修理してくれたけど、別にガソリン満タンとかサービスはしてくれなかったらしく、引き取り後すぐ給油。
給油ストップで発見いたしました。ボンドさんの給油口の中蓋が・・・・・ないんですけど??????
犯人はナポリのおじさんではございません。甥っ子が軍警察ですから、その口でもらった仕事、そんな悪さはできないでしょ?
「お客様の車をちゃんと保管するのは当たり前でしょー」と店長が余裕をかましていたオレーバノの車体工場で、どうやら細々とした部品を盗られちゃっているんですよー!
昨年、暮れに引き取りに行った際、ざっとチェックして実は、車体にかすり傷が増えてること、ホイールのBMWのロゴがひとつ無くなっていることは店長は気づいていたらしいけど、エンジンルームのいろんな蓋とかも無くなっちゃっていることに今、気がついたようです。
先日、とある駐車場で駐車券を受け取った際に、いつも通りにシートの上の日除けに挟もうとして、びっくり。日除けの内側についていたミラーが、運転席、助手席、どちらも盗まれているんですが、ミラーのどころか、この日除けボード自体が色こそ同じだったので、気がつかなかったけど、オリジナルで無くなっている事判明。
ねえ、これってオレーバノの工場、訴えていいんじゃないの?
それにしても、イタリア、物事は簡単にはいかない・・・・・・・・・・。
写真はタオルミーナの町中で見かけたベランダ。あれ? ハト?と見上げたら陶器のハトたち。