2017年 05月 18日
はた迷惑な名前
「きゃあああああああああああああ!!! マテオ! オオオオオオ ミオ ディオオオオオオ マテーオー!!!!!!!!!!」
事件は真夏の夜、とある海辺の町で起こった。
日中の暑さを逃れた夕暮れ後、イタリア人たちは海沿いの遊歩道を海側から吹く涼しい風を受けながらゆっくりと散歩するのが夏の夜の習慣。この夜も、遊歩道には多くの老若男女がそぞろ歩きをしていた。
ヨットなどが停泊している港沿いの遊歩道で、一人の老婦人が真っ暗な水面に向かって必死に名前を叫んでいる声を聞きつけた人たちが、何事かとわらわら集まって来た。
「マテオー!!!! Ohhhhh mio Dioooooooo!!! マテーオオオオオオ!!!!!!」
まさか、マテオという名前のお孫さんとかが、海に落ちたとか? えらいこっちゃ!!!!!!!!と男性が老婦人が叫ぶ真っ暗な海へ飛び込む!!!!!
真っ暗な海から浮かび上がってきた男性の腕には真っ白い・・・・死体じゃなくって、マルチーズ。
「シニョーラ・・・・マテオって、この犬?」
これは友人のお母さんのお話である。
お母さんが飼っていた犬にはマテオと、普通のイタリア人の名前がついていた。爆
人ごととは笑っていられない私ではある。うちの愛犬カルロもイタリア人に多い名前のひとつである。
イタリア人の名前は基本的にカトリック教の聖人の名前が多くつけられる。そのままね洗礼名になるからということもあるし、南イタリアなどはおじいちゃんやおばあちゃんの名前がそのまま孫につけられるので、同じ名前が世代交代するだけ。
なにせカトリック教信者のイタリア人、洗礼を受けていないと天国に行けないと信じているので、洗礼はもう生まれてきたからには必須。ということで洗礼名が重視もされているということもある。
いや、君たち洗礼してても長い人生の中、かなり腹黒いことしてるもん、天国行きは無理でしょ?と外人のあたしは言いたいが、まずは名前から天国行きをクリアしておかなければならないイタリア人たちである。
愛犬カルロは別に聖カルロさんの名前をいただいたわけじゃないけど、ナポリ王国の王様からいただいちゃったので、必然イタリア人にも多い名前となってしまっただけである。
昨今は日本でもペットに人間と同じ名前をつける事も多くなってきているようですが、イタリアもなんとなく、そんな感がします。
イタリアにもね、日本のポチやハチ公みたいに、犬やネコにつける名前がありますが、最近は海外のセレブとか、タレントや芸能人の名前をつけることが多いです。
カルロの周りのわんちゃんたちを見ているだけでも、普通にイタリア人の名前のウーゴくん、カミッラちゃん、エンマちゃんとか。ゴリアやアキレス、エットレ、ナポレオンとか神話やヒーロの名前も多いな。
カルロの兄弟たちもみんな人間の名前がついている。クラウスくんに、トムクルーズの娘の名前と同じくスアミちゃんにマヤちゃん。
ちなみにカルロには店長のとこの娘さん(人間)と同じ名前のメス犬の友達もいます。笑
数週間前にいきなり始まったゴミ個別戸回収システムですが、おむつってかさばるゴミですので、市で特別にオムツ用のゴミ箱を数カ所に設置したんですが、このゴミ箱を使うには市に「おむつを使う子供がいます。」という届け出をして専用のキーカードをもらわなければならないそうで。
「ミカのところ、カルロのおむつ(トイレシート)どうしてるの? カルロだったらおむつ用のキーカード申請できるんじゃない?」
犬でももらえるの?
「いや、市役所に行って、うちには3歳になる子供がいて、まだオムツ取れないんですと。きっと名前聞かれるだろうから、カルロって言えばいいんじゃない?」
確かに出生日、出生地も保健所に届け出してあるしね・・・・・爆
「あっ、でもだめだ! カルロのパパ犬が不明だもんね。お子さんのお父さんの名前を教えてくださいなんて聞かれたらアウトだよね。父親は不明ですなんて言っちゃったらさ、ミカがアバズレ女に思われちゃうもんね。」
・・・・・・って、おい。 汗