結婚滞在許可書を考える

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知り合いのイタリア人男性の奥様はアメリカ人である。であった。

先月、彼女は滞在許可書の更新を希望せず、滞在許可の期限が切れる日に2歳になったばかりの娘をイタリアに置いて、一人母国アメリカに旅立った。


結婚は多分5年続かなかったと思う。


2年前、赤ちゃんが生まれて2ヶ月がたった朝、知り合いのイタリア人男性はいつものように仕事に出かけ、夜、家に帰ってきたら、奥さんも赤ちゃんも家にいなかった。

昼間の間に奥さんは赤ちゃんを連れて母国アメリカにいきなり帰ってしまい、彼女はそのまま離婚を切り出した。


イタリア人同士のカップルだって、こういうことは起こるだろうが、問題は奥さんがだんなさんの同意なく、未成年(赤ちゃん)を国外に連れ出してしまった事である。

この場合、例え親であっても未成年の誘拐になる。


知り合いのイタリア人男性はこの2年、奥さんとの離婚調停、さらに子供に会う権利を得る裁判をする羽目になった。

なにせ、奥さんと赤ちゃんはアメリカにいるので、裁判といっても簡単にはいかない。イタリアの法律とアメリカの法律、国際間の取り決めなどなど。

アメリカは離婚は簡単だろうけど、イタリアはそうはいかない。離婚自体も非常に時間がかかるしめんどうである。


この2年、彼が何度かアメリカに渡り、裁判や弁護士と随分お金を使ったということは聞いている。なんとか子供と再会する、子供と一緒にいる時間を得ることが出来たようで、もうすぐ2歳になる娘はまたまた海を渡り、イタリアに戻ってきたが、なにせ2歳にも満たない子供である。

当然母親である奥さんがイタリアまで付き添ってきたわけで。


昨年のクリスマスは、こうやって彼は初めて娘と一緒に過ごす事ができたが、母親がまた子供を誘拐してしまわないように彼の両親を呼び寄せ、監視付きのクリスマスであった。


こんな話を聞いて、最初は奥さん早まった行動を取っちゃったよねとは思ったけど、イタリア人の親がどれほど重いかを知っているだけに、アメリカ人の奥さん、針のむしろだろうな・・・・・とちょっぴり彼女のことを思うと心が痛くなった。


あれから4ヶ月。

2歳のお誕生日をイタリアで父親とイタリア人のおじいちゃん、おばあちゃんと、そしてイタリア人の親戚たちと迎えたおちびちゃん。

彼女のマンマは親権を得る事もできず、彼女をイタリアに置いて一人アメリカに帰った。


滞在許可書の更新さえ拒んだ奥さんの気持ちを同じ外国人である私はついつい考えてしまう。

周りのイタリア人たちは「だって、彼女のイタリア滞在許可は結婚のためで、離婚したいんだし、イタリアにいる理由はないだろう?」と言うけど。



ふと、もう10年近く前なるけど、労働のための滞在許可書の更新で地元の移民事務所に行っていたときの警官たちの会話を思い出した。


「このケースはどうしようか?」隣の机で別の人の滞在許可書の更新申請の書類を見ていた警官が、私を担当していた警官に話しかけた。


もうかなり年配の外国人女性で、最近どうやら長年連れ添ったイタリア人の夫が亡くなり、今回彼女は未亡人として結婚の滞在許可書の更新を申請していたのだ。


二人の間に子供はいなかったそうで、女性はここイタリアで天涯孤独である。しかも高齢なので今更労働の滞在許可書に切り替えるための定職もない。

彼女の収入はイタリア人の夫が残した年金だけである。


実は、このケースかなり微妙だったようで、「もう夫がいないんじゃねぇ・・・本来は国に帰ってもらいましょう。なんだけど、高齢だし、だんなの年金でなんとかここで生きて行けるだろうし。」とこの二人の警官の温情で「更新」に回った。


イタリアの滞在許可書の更新っって本当に心理的にも経済的にも大変で、毎更新時に、ああああ、こんなことなら早く結婚したい!早く、こんな問題を終わらせてしまいたいと思っていた。

イタリア人と結婚した友達たちの結婚報告や、滞在許可書が結婚に変わってホットしたと聞いては正直うらやましかった。実際、私はイタリアに好きな人がいて「君の夫になりたい」という彼の言葉を私はプロポーズだと信じていたので、学生、また労働と滞在許可書の種類が変わっても、毎更新時に発生するいろんな問題に、いつも「こんな苦労をするためにイタリアに来たんじゃない!」とは思っていた。



でも結婚は全然、安全パイでもゴールでもない。特に滞在許可書に関しては。








最後までおつきあいありがとうございます。Grazie per la visita!

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by viabellaitalia | 2017-05-09 00:35 | イタリア広場 | Comments(0)